公開日 2024年12月25日

劇団アンパサンド『遠巻きに見てる』
劇団アンパサンド『遠巻きに見てる』
2025年 4月18日(金) ~ 27日(日)  全13公演
三鷹市芸術文化センター 星のホール
チケット
チケット完売    
【全席自由】(日時指定・整理番号付き)
劇団アンパサンド『遠巻きに見てる』ts
★…早期公演割引  【託】…託児サービス

【会員】 前売3,000円・当日3,500円 
【一般】 前売3,500円・当日4,000円
【U-25】 前売・当日とも3,000円(当日身分証拝見)
【高校生以下】 前売・当日とも1,000円(当日学生証拝見)
 ★早期公演割引は、すべて300円引き *未就学児は入場できません。
 *「U-25」および「高校生以下」は、いずれも公演日時点
出演作・演出 安藤 奎
出演岩本えり、永井若葉、重岡 漠、西出 結、奥田洋平
チラシPDF
託児サービス  

主催:公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団

電話:0422-47-5122(三鷹市芸術文化センターチケットカウンター)


こんにちは。
劇団アンパサンドの安藤です。
三鷹での公演が決まった夜、こんな夢を見ました。
ある温泉地に、一頭の賢いロバがいます。
そのロバの特技は、蟻地獄に入って蟻を食べることです。
ですが、その日は蟻地獄に入っても一向に蟻を食べようとはしません。
ただ、「ウーマイ、ウーマイ」と鳴き続けているのです。
周りの人々は笑っています。「食べてもいないのにウーマイだって」
すると突然、その場にいた女子高生が叫びました。
「怖い!その言葉、スペイン語で『助けて』って意味だよ!」
その瞬間、私の背筋は凍りつき、心臓が跳ねる思いがしました。
しかし、「ウーマイ」と鳴き続けるロバを目の前にして、
私はただ、遠巻きに見ていることしかできなかったのです。(劇団アンパサンド 安藤 奎)

『歩かなくても棒に当たる』 2024年8月 / 新宿シアタートップス 撮影:前澤秀登
『歩かなくても棒に当たる』
2024年8月 / 新宿シアタートップス
撮影:前澤秀登
『歩かなくても棒に当たる』 2024年8月 / 新宿シアタートップス 撮影:前澤秀登
『歩かなくても棒に当たる』
2024年8月 / 新宿シアタートップス
撮影:前澤秀登
『地上の骨』 2023年9月 三鷹市芸術文化センター 星のホール
『地上の骨』
2023年9月
三鷹市芸術文化センター 星のホール
 

公演に寄せて、作・演出の安藤 奎さんからのメッセージ

安藤 奎

私は今日、ウスターソースとオイスターソースが別物だということを初めて知りました。
そのことは本当に私を驚かせました。ウスターソースはオイスターソースが訛ったものだと思っていたのです。訛ったか、もしくは、オイスターソースという名称を誰かが特許取ってしまって使えなくなったから、仕方なくそれっぽいウスターソースと名乗っているのだと思っていました。チュロスとチュリトスの違いみたいなことです。ティッシュとティシューの違いみたいなことでもあります。なので、私は今まで、料理のレシピにオイスターソースと書いてあったら、全部ウスターソースを使っていたのです。だからか!と、今までの、すべての、不可解なことが解明したような気がしました。そういった些細なことから、世界が一変するというような物語を作ろうと思います。

 
【劇団プロフィール】

2016年、安藤 奎(劇作家・演出家・俳優)が旗揚げした演劇団体。
2021年、深見由真(俳優)、菅原 雪(俳優)が加入。
茶の間やオフィスから始まる日常が、少しずつズレていき、いつの間にかとんでもない世界に変わってしまうという作風が特徴。2023年、MITAKA “Next” Selection 24thに選出。同年、「地上の骨」で岸田國士戯曲賞最終候補にノミネート。2024年、ユーロライブ主催テアトロコントvol.67に出演。2025年3月、「歩かなくても棒に当たる」(2024年8月/新宿シアタートップス)にて、第69回岸田國士戯曲賞受賞。

HP: https://gekidanampersand.wixsite.com/mysite
X(旧Twitter): @gekidanampersan

 

過去の作品紹介

劇団主宰であり、脚本・演出・出演も務める安藤奎さんに、過去作品の上演時の思い出や、作品作りのきっかけなどを教えていただきました。

『それどころじゃない』
  かながわ短編演劇アワード参加作品  2021年3月/KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ

それどころじゃない
撮影:松下哲也

公演時の思い出や、作品作りのきっかけ
この公演は、アンパサンドの作品の中で唯一、実話をもとにしたお話です。子どもの頃、父がイオンモールで首の長い女の霊に憑りつかれた時のことが記憶に残っていて、そのことを演劇にしたいと思って書きました。私と母がイオンモールに買い物に行って、父は人混みが苦手なので車の中で待っていたら、入口から背の高い女の人が出てきました。やけに背が高い人だなぁとぼんやり思っていましたら、その人は父に近づいてくるのです。そして気付きました。背が高いんじゃない、首が長いんだ。父はよくどこかに出かけるたび、憑りつかれて帰って来たのですが、そのたびに母は「もう~やめてよ~」とうんざりしていたものでした。私たち家族にとっては日常ですが、傍から見たら変に見えるだろうなという、家族という集団のおかしさが詰まった作品になっております。

あらすじ
共働きの若い夫婦。妻は出勤準備に追われているが、夫はコタツから顔だけ出して横になったまま。「何してんの、遅れるよ」「体が思うように動かないんだよ」。呆れた妻がコタツに手を突っ込んで夫の足を引っ張ると、なんと夫の首がどんどん伸びる。呆然とする妻、何がどうなっているのか分からない夫。妻は足を引っ張り続け、夫は首がどんどん伸びる。「何が、何がどうなってるの? 」。首が伸びていることに気付けぬ夫の悲痛な叫びが響き渡る部屋。やがて、果てしなく伸びる夫の首を前にして、妻は…。

 
 

『地上の骨』
  MITAKA“Next”Selection 24th 参加作品  2023年9月/三鷹市芸術文化センター 星のホール

地上の星

公演時の思い出や、作品作りのきっかけ
失われていく人情を形に残したいと思って書き始めた作品です。今、世の中は人情が失われています。お隣さんへのお裾分け、店員さんとの会話、会社でのコミュニケーション。バスを待ってる子どもに「乗ってく?」なんて声をかけることはできません。人情は迷惑と化しているのです。余計な一言を言ってしまうくらいなら喋らないほうがいいのです。人が人に興味があることが前提だった世界ではなくなっています。この作品では、お腹から黒い布が出てきて、その布に入っていくことで人間の肉体が消え、魚になっていきます。みんなで一生懸命布を縫いました。出演者のみんなの協力がなかったらできない作品でした。ぬるぬると液体が滴る安河内さんの手を、ミヤビが躊躇いながらも握るシーンが私は好きです。

あらすじ
とあるオフィス。忙しい人もいれば、忙しくない人もいる。バリバリ仕事をこなしている人もいれば、永遠に同じ仕事をしているのではという人もいる。やがて、おそらくそんなに仕事に邁進しないタイプの男が、同僚たちに魚の佃煮を振る舞い始める。「すごく美味しいんだから!」と好みの押し売りをする男と、「すごくおいしそうですね!」と調子を合わせながらも気が進まない者たちの無意味な攻防戦の果てに、結局、オフィスにいた全員が魚の佃煮を口にする。するとやがて、皆の体に震えが走り始め、いつしか全身が魚に…。

 
 

『歩かなくても棒に当たる』
  2024年8月/新宿シアタートップス

歩かなくても棒に当たる
撮影:前澤秀登

公演時の思い出や、作品作りのきっかけ
2024年はホラーにはまっていまして、1年で短編を含めると4本の演劇作品を書いたのですが、4本ともホラーになりました。次はホラーじゃないのを書こうって思ったりしたのですが、始まりは普通でもどんどんホラーになっていきました。なんだかいろんなものに怯えていた私の気持ちがホラーとして具現化されたのでしょう。ホラーを書くと、自分が今何に一番恐怖を感じているのかが浮き彫りになります。無意識のうちに恐れているものが表われるのです。この作品で具現化されたのは、神がいなかったらどうしようという恐怖でした。どこかで神がいると思っているから生きてこれたのですが、もし神がいなかったら、どこに行けばいいのかわからない。私たちはどこに向かっているのでしょうか。

あらすじ
とあるマンションのゴミ集積所。ゴミ出しのタイムリミットは午前8時。しかし、今日も今日とて、8時を過ぎてからゴミを捨てに来る不届き者が、ちららほらら。「他にもゴミがある! まだ収集車が来てないかも! セーフ!」。そんな彼女たちの脳裏をよぎるのは、『時間厳守!』と毎朝集積所を見張り続け、収集車が来ようが来まいが、8時を過ぎたゴミ出しを絶対に許さなかったサナエさんのこと。そのサナエさんが不慮の事故で亡くなってから1年、ルールが乱れまくるゴミ集積所に、ついに天から怒りのサナエさんが降臨する!