公開日 2022年12月01日


©Warner Classics

レ・ヴァン・フランセ
世界最高峰の管楽アンサンブルが魅せる、聴かせる、比類なきサウンド

2023年3月12日(日) 14:00開演
三鷹市芸術文化センター 風のホール
チケット
*本公演は終了しました。    
【全席指定】会員 S席5,850円・A席4,950円
一般 S席6,500円・A席5,500円
*U-23(23歳以下/A席限定) 4,000円
*ご入場の際に、身分証明書のご提示をお願いいたします。
※風のホール2階客席へはエレベーターがありませんので、階段をご利用ください。
※未就学児は入場できません。
出演エマニュエル・パユ(フルート)
フランソワ・ルルー(オーボエ)
ポール・メイエ(クラリネット)
ラドヴァン・ヴラトコヴィチ(ホルン)
ジルベール・オダン(バソン)
エリック・ル・サージュ(ピアノ)
曲目クルークハルト:木管五重奏曲 op.79
ベートーヴェン:ピアノと管楽のための五重奏曲 op.16
フィリップ・エルサン:六重奏曲
エリック・タンギー:六重奏曲(委嘱新作)
プーランク:六重奏曲
チラシPDFレ・ヴァン・フランセ[PDF:730KB]
託児サービスあり  

主催:公益財団法人三鷹市スポーツと文化財団

電話:0422-47-5122(三鷹市芸術文化センターチケットカウンター)

― 風のホールでは木管楽器が美しく響き、三鷹の聴衆の皆様と音楽を通じたコンタクトは、私にとってとても特別な力と性質をもったものです。(エマニュエル・パユ、2016年)

― ホームグラウンドの一つのように感じている三鷹に戻れて、本当に嬉しいです!(フランソワ・ルルー、2016年)

― 風のホールは素晴らしい聴衆と素晴らしいコンサートの“ホーム”です。(ポール・メイエ、2016年)

名実ともに各管楽器の頂点に立つパユ、ルルー、メイエ、ヴラトコヴィチ、オダンと彼らのサウンドを鮮やかに支えまとめるピアニスト、ル・サージュ。完璧なテクニックと群を抜く音楽性、豊かな音色で世界トップクラスに君臨する名手たちが集う奇跡のアンサンブル、レ・ヴァン・フランセの2002年以降通算8度目のコンサートです。

今回のプログラムは、前半に19世紀後半に作曲家、指揮者として活動したクルークハルトの木管五重奏曲、20代のベートーヴェンが演奏旅行先のプラハで聴いたモーツァルトの「ピアノと管楽のための五重奏曲」に触発されて作曲した同編成の作品が演奏されます。後半は、レ・ヴァン・フランセの委嘱により生まれた21世紀の2作品と、2021年にフランス政府より芸術文化勲章(コマンドゥール勲章)を受章したエルサン、タンギーの作品と、ファンにとってはお馴染みのプーランク「六重奏曲」で締めくくるという粋な構成になっています。エルサンの作品は2019年リリースのアルバム『モダニスム』に収録され、タンギーの作品は新たに委嘱されたもの。古典派から21世紀まで木管アンサンブルの多彩な作品が生で聴ける、またとない機会となっています。

625席の風のホールで聴く「フランスの風」(Les Vents Françaisの日本語訳)を心ゆくまでお楽しみください。

公開リハーサル

2023年3月12日(日) 12:00~13:00 定員20人
会場:三鷹市芸術文化センター 風のホール
公演前のリハーサルの一部を、本公演のチケットを購入されたマークル会員の方または25歳以下の方に公開します。極上のアンサンブルが生まれる瞬間を体験できる貴重なチャンスです! ぜひご応募ください。
*公開時間が短くなる場合があります。 *申込多数の場合は抽選となります。

【対象】 本公演のチケットを購入されたマークル会員の方または25歳以下の方限定
【申込方法】 往復はがきの往信面に下記事項を明記のうえ、お送りください。
 1)氏名 2)住所 3)(学生の方は)学校名・学年、(会員の方は)会員番号 4)本公演のチケットに記載された座席番号(人数分) 5)参加希望人数(チケット購入者2人まで)
 返信用はがきに宛先をご記入の上、次の宛先までお送りください。
【宛先】 〒181-0012 三鷹市上連雀6-12-14 三鷹市芸術文化センター「レ・ヴァン・フランセ公開リハーサル」係
【申込締切】 2023年1月12日(木)

 

Interview  Paul Meyer

2023年3月に、5年ぶりの来日ツアーを予定するレ・ヴァン・フランセ。ツアーに先駆け、メンバーの一人、ポール・メイエさん(クラリネット)にインタビューを行いました。

Paul Meyer
©Shin Yamagishi

-こんにちは、メイエさん。2020年にはコロナ禍でレ・ヴァン・フランセのツアーが中止になってしまいましたが、今回ついに日本に来ていただきます。

本当に嬉しいです。この時をずっと待っていました。ついに日本に行けるんです!

-まず、今回の演目に関して質問です。エリック・タンギー氏の新作について、お話を聞かせてください。

はい。実はこの曲はまだ聴衆の前で演奏していないので、メンバー以外まだ誰も聴いたことがないのですよ。エリック・タンギー氏の作品は現代作品ですが、難解ではありません。どちらかと言うとクラシック寄りです。きっと聴衆の皆さんは「この曲は好きだな。」と感じてくださるはずです。
ひと口に「現代音楽」と言っても、いろいろなスタイルがあります。タンギー氏の新作は「新様式のコンテンポラリー」だと思います。それ以前の現代音楽とは、作曲様式に変化が感じられますね。

実は私は、音楽院時代から常に現代音楽に触れてきていて、タンギー氏だけでなく、ピエール・ブーレーズ、オリヴィエ・メシアンなど様々なスタイルに馴染んでいます。

-作曲は、レ・ヴァン・フランセがタンギー氏に創作を依頼しましたか?

はい。発案者はピアノのエリック・ル・サージュです。他のメンバーも全員、エリック・タンギーのことは何年も前から知っていました。フルートのエマニュエル・パユも彼と親交が深かったですし。私も彼の作品を演奏したことがありました。
日本でも、酒井健治さんに新作をお願いしたことがありますが、メンバーがすでに作曲家と交流があると自然に、曲をお願いする流れになります。作曲家のほうにも「このメンバーにはこんな曲がいいのではないかな。」とすでにイメージが湧いていることが多いのです。
ただ、初演がレ・ヴァン・フランセによるものであっても、その後楽曲が評価されて、多くの演奏家が関心を持って演奏してくれることが、とても大切な目的です!

-ツアーの演目を決める際に、基準にすることは?

まずは「演奏したい!」と感じる曲を選んでいます。そのうえで、考慮すべきことを考えます。例えば、演奏時間の長短。聴衆がいま、それを聴きたいのかどうか。主催者からのアドバイスにも耳を傾けますよ。でもやはりいつでも、その曲を演奏したい、誰かに聴いてもらいたい、そういう思いこそが、最も確かな基準です。

-レ・ヴァン・フランセのメンバーは、それぞれの楽器でいわば「フランス音楽のスペシャリスト」です。フランスの音楽の魅力、特色とは?

色彩感が溢れていることでしょうか。フランス音楽の最大の特徴と言える点は「健やかにユーモラス」であることかな。感情や感覚の繊細な表現にあふれています。でもその感情は、豊かでありながらも、ストレートに強く押し出されるわけではないのです。
例えばドイツ・ロマン派の音楽、ロシア音楽には、魂の苦悩の表現が大事な要素ですけれども、フランス人がそれを表す場合は、あえて「ちょっと抑え気味」ですよね。
そういった意味で、フランスと日本は近いところがあると思っています。フランスには若干の「引き」、謙虚さのような、そういう個性があります。見方によっては「礼儀」とか「愛嬌」でもある。そこが「味」です。

-次の質問は、レ・ヴァン・フランセの活動についてです。室内楽という分野で20年以上も活動を継続するという、その成功の鍵は?

鍵はいくつかあります。大きな熱意で臨んでいることに加えて、どの楽器にも最高の演奏者が集まっていること。 そのそれぞれが、ソロ活動や、独自の音楽活動をしています。
レ・ヴァン・フランセで集う時、それぞれが、他の場所で培った新しい体験を持ってくるのです。それをまた、全員が分かち合う。分かち合うためにまた集まる、と言っても良いくらい。
ここで鍵は何かというと、そんな混合部隊をどうすれば上手にまとめられるかということ。メンバーがその都度持ち寄ってできるもの、それは膨大で素晴らしい経験の塊なのです。

ただ定期的に集まって、いつもの演目を繰り返すという平坦な活動ではなくて、私たちは常に新しさを求めたいのです。一緒に仕事したい、お互いを尊敬して「すごいじゃないか!」と新鮮な心で言い合いたい。究極の成功の「鍵」は、そこかも知れません。
仕事の場で仲間への尊敬、優れた成果や過程への感嘆を表すことは、とても大事です。
さらに、もっと基本的なことは友情。レ・ヴァン・フランセのメンバーはみな、私にとってはもはや仕事仲間を超えて友人です。とても長い付き合いになりましたね。

-木管五重奏の場合、それぞれの演奏者や楽器に、特徴的な役割はありますか?

まず楽器として考えれば、フルートには鋭い高い音を出す、という役割があります。オーボエも高めでクラリネットほど低い音域までは下がらず、音で言えば単純に高低差での役割があります。ホルンは音の響きそのものが違いますよね。木管アンサンブルの場合、忘れてはならないのは、楽器が同じファミリーでも、個性が違うということ。それぞれに色合いが違います。
声楽曲に例えると、男声のバス、バリトン、テノールがあって、女声のアルト、ソプラノがあってこそ、音楽の全体が成り立っていますよね。木管アンサンブルの楽器の音も「音」なのではなくて、「声」と思って聴いてくださいね。

-室内楽のレパートリーに詳しくない人がコンサートに来る場合、もし事前に何かアドバイスをするとしたら?

室内楽の良さ、つまり、大規模なオーケストラの場合と異なる点は、ひとつひとつの楽器の「声」が際立ってつかみやすいことです。楽器と楽器が対話をしている音楽、と言ってもいい。声のやりとり。問いかけて、応えている音楽です。

-プロの音楽家を目指す若い演奏家に、一番大事なアドバイスを送るとしたら?

ああ、その答えは簡単で、ひとつです。「たくさん練習してください。」
私も、いつも自分にそう言っています。練習は欠かしませんし、あきらめません。これで良いかな、と思った後に、また繰り返します。何度でも、いつまでも。そして、毎日。

-この3年間のパンデミックで、どんな苦労がありましたか?

まず日々の社会生活そのものに、どういう見通しを立てたらいいのかわからなくなり、パニックになりました。文化的な催事も音楽のコンサートも禁止。私だけではありません、全ての人たちにとってきわめて困難な期間だったでしょう。若い世代にとってはさらに大変だっただろうと。コンサートができない、当然収入が途絶える。演奏家のみならず、企画を主催する皆さんにとって、試練だったと思います。

-最後の質問です。メンバー全員が多忙な中で、レ・ヴァン・フランセがコンスタントに演奏レベルをキープし、常に高評価を得ていることは、大変な功績です。レベルとリズムを保つための心意気は、どこから生まれるものですか?

Paul Meyer
©Shin Yamagishi

「満足しない」ことでしょうか。もっと上手に演奏したい、より良い音があるはずだ、と信じるのです。それによって、上達できるのです。永遠に。
仕事を続けることで、自分はより強くなれる。良い結果が生まれる。それを見たい、欲しい、と思うこと。
「止まらない。続ける。」というのは、私にとって生きることそのものです。
私はいまだに「ああ、到達できた。」と感じられません。どんなに練習しても、演奏しても、まだ学生なのです。勉強するぞ、もっと演奏するぞ!と。そうすることで、コンスタントに上達していきます。それが喜びです。
とてもシンプルなことです。

また健康は、すべての基本です。音楽家に限らず、全ての人にとって。自分が健康であることについて、なんて素晴らしいのだろう、と感謝しています。人生の大きな幸運です。健康であればこそ、心が自然と「もっと良く生きよう、仕事をしよう。」と欲するものです。

生きることは喜びに満ちています。「アンサンブル」というフランス語は「一緒に」という意味です。集い、一緒に過ごす喜び。仲間たちと、聴衆の方々と再会する喜び。いつか行った土地にまた足を運ぶ喜び、日本に行く喜び・・・そして音楽の喜び。
小さな子供の心で、穢れのない新鮮な目で、世界を発見したいです。演奏した曲の他に、自分のまだ知らないどのような曲が、世界にあるのだろう?どんな音楽家にこれから出会えるのだろう?
自身が選んだ大好きな職業、「音楽」が、すべての発見をもたらしてくれます。そしてそんな発見をずっとつなげていきたい。私の心の奥の想いです。
今日までまだ、ただの一度も、「これでもう、この曲はやり切った、すっかり理解した、だからもうお終いにしよう。」と思ったことはありません。もっとできそうだ!と思うのです。

-その思いこそが、ひとつの才能なのでは?

そうかもしれません!そしてそれは、「才能」であると同時に「幸運」なのだ、と申し上げましょう。

 

インタビュー:株式会社ジャパン・アーツ

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