公開日 2017年10月31日
吹越 満 Mitsuru Fukikoshi
妻がいるのに別の女性と婚約する男。妻に「自分でもよく分からないんだよ」みたいなことを言う。これは『微笑の壁』。妻を亡くした男が、家の近くに倒れていた女を拾って来て家族に自分の妻だと言い張る。これは『水仙の花』。どちらも男の考えていることが全く分からない。分からないのだけれど、そんな男が当たり前のように登場するからこそ物語は静かにズレ、堕ち、狂い、観る者を淡々と惹きつけるのでしょう。しかし、僕は演やる側です。分からないままより分かった方が演り易いかもしれないので手っ取り早く山内さんに質問する、という方法があるのですが、何を言われるか怖いし、聞いちゃうとうまく演らなければならなくなると考えると立場が不利になるので質問はしません。
山内さんは役者に当て書きをするのだそうですが、僕のことを、よく分からないことを言ったりやったりする男だと思っているのでしょうか? 少しだけ反論したくなります。が、僕の存在が、よく分からない男を登場させる山内さんの作劇の手助けになっているのであれば少し誇らしい気持ちになるのです。
星座に詳しいヤツ(岩谷健司君)によるとさそり座の山内さんとみずがめ座の僕はゼッタイ的に相性が悪いのだそうです。
井上陽水の歌詞に「友達が出来た時は深い仲にならぬ様」というのがあります。僕はこの詞が好きですが、山内さんがこれをどう思うかは知りません。
安澤千草 Chigusa Yasuzawa
山内ワールドの登場人物は、分別もあって一見きちんとした人たちだ。
その人たちが、言い訳したり、辻褄合わせたりしようとして、ある意味破綻してゆく。
そのドラマ。
端から見ると、喜劇。
本人たち、真面目。
今年の冬、やっと山内舞台の住人になれる。
とても嬉しい。
どんな綻びの物語になるのか。 楽しみ。
いかに常識を持って。
破綻できるのか。
橋本 淳 Atsushi Hashimoto
城山羊の会にまた参加できること、とても嬉しく思います。私が以前出演したのは『トロワグロ』という作品。台本が毎日少しずつ追加されていく過程はとても楽しい。それは山内さんの台詞だからこそ。『トロワグロ』では、本番数日前に自分の役がまさかバイセクシャルと判明するとは思いもせず。今回はどんな風に揺さぶられるのだろうかと楽しみで仕方ありません。またあのハイセンス台詞を口から吐き出せる幸せな時間を堪能します。その為に稽古では血を吐きます。ですからぜひ劇場へ。
村上穂乃佳 Honoka Murakami
私自身、舞台経験がないもので…。初舞台が城山羊の会だなんて贅沢ですし光栄です。
山内さんの作品で初めて見たのが、映画『友だちのパパが好き』でした。独特だけどリアルで、確実にクセになるものがあって見終わった後不思議な感覚になったのを覚えてます。
今作のオーディションに応募しよう! と思ったのも、これまでの作品の世界観に惹かれたからです。未熟ではありますが、山内さんの作る世界の一部として恥じぬよう精一杯やりたいと思ってます。
鄭 亜美 Ami Chong
CM「コンコルド」の現場で2009年よりお世話になっております。最初は、ビキニで踊りまくるというCMでした。「ダンスが良い」とおっしゃっていただき、それからは基本的に(台詞もちょこっとありますが)「ダンサー枠」でした。
俳優としては、2016年の舞台「ザ・レジスタンス、抵抗」が初めてでした。ドイツ好きのOLの役で、その、アンチテーゼ滴る設定からすでにクラクラしたのをおぼえています。その戯曲に感動し、感想をB5レポート用紙に3枚ほど綴りました。
山内ケンジさんの戯曲のなかにある含みが、たまらなく好きです。とても楽しみです。
折原アキラ Akira Orihara
山内さんは、とても穏やかで物静かな方です。以前私がオーディションを受けた時、山内さんは会場入りしてからオーディションが始まるまでの15分間、たしか「おはようございます」と「始めます」の二言しか話さなかったと記憶しています。仙人のような方だと思いました。
その後、出演させていただいたんですが、稽古中も山内さんは口数が少なく、本当に面白い時にしか「面白い」と言いません。でもそれが単に正直で実際的であるということだけではなく、面白いと思えるものだけを舞台に乗せるという当たり前の姿勢だと分かった時、私は襟を正したのでした。