吉村昭 紹介
吉村昭 YOSHIMURA Akira, 1927−2006
吉村 昭(1998年 撮影)
1927(昭和2)年5月1日、東京府北豊島郡日暮里町(現 荒川区東日暮里)に生まれる。1953年、学習院大学文政学部を中退後、大学の文芸部で出会った北原(のち津村)節子と結婚。同人雑誌「文学者」などで執筆活動に励み、1966年、「星への旅」で太宰治賞受賞。同年、緻密な取材を重ねて記録文学に新境地を開いた『戦艦武蔵』がベストセラーとなり、作家としての地歩を固める。
戦争体験者や戦時の技術者の証言をもとに執筆した『殉国』(1967年、のち改題『殉国 陸軍二等兵比嘉真一』)や『零式戦闘機』(1968年)、被災者の証言と当時の記録から災害の実相を明らかにした『関東大震災』(1973年)など、戦史小説をはじめとするドキュメント作品が評価されて、1973年に菊池寛賞を受賞。徹底した取材と調査を基礎とする手法はそのままに、長編歴史小説『冬の鷹』(1974年)の刊行後は、江戸時代以降の歴史小説も数多く手掛けた。題材は戦争、医学、動物、漂流、囚人など多岐にわたり、形式も長編小説、短編小説、エッセイと多彩な作品を次々と世に送り続けた。海外でも多くの翻訳書が出版されている。2006(平成18)年7月31日永眠。