山本有三 紹介
- 山本有三 庭園にて 1938年
- 掛軸「心に太陽を持て」山本有三筆
- 『新篇 路傍の石』岩波書店
山本有三(本名・勇造)は、1887(明治20)年、栃木県下都賀郡栃木町(現・栃木市)に父元吉、母ナカの長男として生まれました。高等小学校を卒業後は丁稚奉公に出され、家業の呉服商に就いた時期もありましたが、向学心を持ち続け一高へ入学。そして、東京帝大独文科へと進学しました。
大正期半ばに劇作家として出発し、「生命の冠」「坂崎出羽守」「同志の人々」などで地歩を固めました。大正末期に小説の世界に進出し、「波」「女の一生」や国民的作品の「路傍の石」を執筆するとともに、先駆的な子ども向けの教養書シリーズ「日本少国民文庫」(全16巻)の編纂も手掛けています。
国語問題についての発言も多く、国語教科書の編集に携わった他、戦後は参議院議員としても活躍し、1965(昭和40)年には文化勲章を授与されました。
1974(昭和49)年に湯河原にて86歳で亡くなり、連載中の「濁流」が絶筆となりました。